【考察】諦めない、クライミング

人の身体は個性がある
僕が幾ら筋トレをしてもマッチョにはならないが、一方、優れてた身体の友人もいる。
僕が幾らストレッチをしても開脚は良くならないが、女性クライマーはストレッチで柔軟性が高まる人が多い。

体育系大学でクライミングの論文が増えているからインターネットでググって見ると良い。 ある論文(文末参考文献)に、「保持力(手で体を支えること)」と「クライミングのグレード」には相関があるという。
そうすると、指の身体的構造がクライミングの上達に影響する。

1.指、そのものの大きさ
2.関節の可動域
3.関節の物理的強さ
4.筋肉の構成、
5.疲労回復力
6.その他

そして、人が後天的に鍛えられるのは限られているから、自らの身体的個性を超えて動作をしてしまうと体は壊れるに決まっている。
身体が壊れてしまうと後遺症が残るケースが多い。

しかし、僕らは他人と自分を比較して「まだまだいける」と思う。他人から精神論を言われ「お前は根性がない」とか言われる。しかし、そうやって他人と比較して、上手いクライマーを真似ようとする。そうしているうちに、肩が壊れ、腰が壊れ、指が壊れる。クライマーに狭窄症などの怖い病気を起こす人もいる。そうすると日常生活もままならず、結果、クライミングどころではなく歩行すらできない人になる。

本質な原因は「他人と比較して、自らを失うこと」である。
本来自分の身体を感し、自分が現実的な目標を設定する必要があるのだが、しかし、他人と比較してもっと!もっと!と思うのは本当は危険なことだ。オリンピック・アスリートのように人生のある瞬間勝負する必要があるのなら多少自分の身体が壊れてもいいかもしれないが、僕らは、長期間、歳を重ねても遊べれるようにしなければならない。

短期間で上達しようとする誘惑に打ち勝って、自分の個性的身体を確認する、弱いことを認める。
そして、生涯継続的、長期的に遊べれるよう無理のない範囲で上達していくこと、それが本当のクライミングの上達方法なのではないか、と思っている。

他人に笑われてもいい、弱いクライマーで良い、それでも、自らを失わず・自らを信じて、こつこつ長期的に続けて改善していく。岩を感じて自然を感じて、小さなことに喜びを感じて、日々日々新鮮にする工夫をして、少しずつ進む、それしかない。

 

【参考文献】(参考文献は知的活動における敬意のため記載)
スポーツクライマーの手指筋群における筋力および筋持久力特性の評価法,西谷善子,川原 貴,山本正嘉.