【考察】登山も仕事も、人生100年から眺めておく。

人生100年というが・・・。
(まだ、「ライフ・シフト 100年時代の人生戦略」を読んでいない)

人間の行動には「フロー(流れ)」「ストック(資産)」の2つがあると思っている。これは財務会計でいうP/L、B/Sの考えから来たものだ。例えば、1日10kmをランニングする、という行動は単純なフローである。しかし、それによって、どのような資産を形成しているのか、を常に考えておく。
具体的に言えば、「1日10kmをランニング」をすれば「アクティブな性格を得られる」という具合である。
勉強も単純に読書をするだけながら、それはフローである。ストックとして捉えるのなら、その読書から「資格・学位獲得」となればそれはストックである。若しくは「専門性の権威獲得」でもいい。

登山も同じである。単純に山に登っているだけなら、それを単純なフロー的発想である。そこから「身体的魅力度の形成」「友人関係の形成」「リーダーシップの形成」など考えているなら、それはストック的発想になる。そして、そのフローとストックをどのように結びつけるかは、個々個人が考えるべきことである。

もちろん、このストックには、無形資産・有形資産もある。有形資産にはお金もあるだろう、無形資産には、仕事のスキルや資格等含まれる。

つまり、自分の行動によって「フロー⇔ストックの関係」を自ら見出すこと、それが自らの価値創造に繋がっていく。

「フロー⇔ストックの関係」を明確にするためには、まず「将来を想像」しておく必要がある。その想像は間違っててもいいと思うし正確に把握できるわけがない。しかし、自分なりに将来を予測しておく。

例えば、60歳に定年になって最も重要なことは何か?
・友人の多さ?
・お金?
・???

しかし、父親を観てよくわかるのだが72歳になっても働いている。12年間働けるということはどれだけの貯金に匹敵するのか計算すればよい。友人も同じで、働くことを通じて多くの人と出会っている。その中でよい友人が増えていく。
つまり、働くこと、働けることが何よりも大切なことであることがわかる。

その基本はまず健康である。健康を壊す、ということは実はかなり想像しぬくい。タバコを辞めれない人が多いのは健康が悪化するとどれだけ辛いことが想像できないからだ。健康を維持するとは知的想像力の範疇である。よって、最近は健康に関する情報から可能な限り健康を維持しようと努力している。

一方、そのうえで、働こうとするためには「自分は何者か?」ということを他者が認識できるまで持ってこれるようにしておく必要がある。それは何でもいい「自分⇒クライミング?」「自分⇒応用数学者?」などである。これは日頃の仕事でちょっとだけ意識すれば形成できるはずである。もちろん、20代の人たちにキャリア形成に気付くまで時間がかかる。しかし、気づいてからでいい、少しづつ形成できる何かを観つけていけばいい。

僕はシンプルだ。

1.健康第一
2.”少しづつ大きくできる”キャリア形成

それを大切にしている。だから、僕の健康を害するような人と付き合わない。例えば、ストレスを掛ける人や深夜の飲みを強制する人など、人間関係が壊れても主義主張をして断る。

キャリア形成は単一的ではいけない。例えば、ファイナンスのプロ、になりたい、と言っても意味がない。結局、そのようなスキルがあってもコミュニケーション力・文章力・人間的魅力がなければ人を動かすことができないから、キャリア形成とはとても言えない。つまり、キャリア形成とは総合的に高めて行く必要がある。それはこつこつ小さいことを続けていくことが大切だと思っている。また、嫌々している仕事(フロー)でも自らのストックとどう結びつくのか、それを考えるだけでも何らかの形成することは存在する。

休日の登山はどのようなフローでストックを形成していけるのか、平日の仕事はどのようなフローでストックを形成できるのか、それを常に考え、修正して、また、考えていく、そんな風に最近思っている。ゴールは何かわからない、いや、ゴールなど存在しない、それを観つけようと思っていけない。

自分を大実験しているようなものだが、定年以降また働けるようにしたいものだ。

 

 

【参考文献】
「不安な個人、立ちすくむ国家」次官・若手プロジェクト
http://www.meti.go.jp/commi…/summary/eic0009/…/020_02_00.pdf

【考察】クライミング・ジムの儲かる仕組みを考える

クライミング・ジムの儲かる仕組みを考える。
通常、サービス業のビジネスモデルは、カフェや居酒屋同様、

・客席回転率を上げる
・店内の商品を購入できるようにする。
・単価の高いサービスをする。
・昼と夜(時間帯)で異なるサービスをする。

である。

ところが、クライミングは顧客が2時間以上いることが普通で客席回転率を上げにくい。また、壁を同時に登ることができないので、1面1名の規制があり、そうすると、室内全体としての最大顧客数に厳格な制限がある。また、経費はほぼ固定費である(*1)

一方、オリンピックでスポーツクライミングが選ばれているのと、一人でも遊べるので今の若者に合ったスポーツであるが、しかし、競争状態は激化し、オリンピック後は減速することは容易に理解できる(*2)

すなわち、
(*1)は内部環境上の課題、
(*2)は外部環境上の課題、
ということになる。

それではいこう!
まず、すべきことは、計数情報(KPI)を収集することから始める。

1.顧客の属性と分類
2.時間毎の顧客数
3.顧客一人当たりの滞在時間
4.顧客一人当たりの月訪問回数
5.売上などは容易に管理されているとする。

また、顧客アンケート(口頭で質問する内容を決めておく)をしっかり記録しておく。

1.本日の混み具合はいかがでしたか?等
2.その他必要な質問

特に、顧客が不満を抱く「最大顧客数」を推定しておく。

次に、この「最大顧客数」を中心に思考を広げていく必要がある。

・1Dayで利用する顧客が増えると「最大顧客数」で収益が頭打ちになる。
・1mon/1yearで利用する人が増えても「最大顧客数」で収益が頭打ちにならない。

という事実がわかるから「1Day ⇒ 1mon/1year利用への移転仕組みを作り出す」必要がある。

一方、室内で消費する商品を置いておくと、顧客単価が増加する。例えば、クライミング・ツール、スタバ等のコーヒー、デザート、果物などである。今まで休憩時間にコンビニ行く顧客が多いはずで、それらを内部留保する移転仕組みは必要である。

さらに、多様な価格帯を設定して付加価値を提供する必要がある。容易に考えられるのは、有名○○○者在住とかであるが、実はこれはあまり付加価値の提供にならない。それよりも「当ジムではより次へのステップへ進むことができる」というストーリがある方が人は価値を見出す。例えば、本ジムの特別会員の人(年間費****円)は、「室内ボルダリング⇒外岩ボルダリング⇒リードクライミング⇒アルパインクライミング」のような進化するマイルストーン(年間スケジュール)を描けるようにしておく。特別会員は「外岩へいくとき、無料マットの貸し出し等」も有効である。

■オープンソース化
顧客同士で繋がり合うと、自動的に付加価値を高めてくれる可能性がある。例えば、○○○さんと一緒に居ればグレードが上がる、外岩に行ける等、そもそもジムでは提供できないことも顧客同士で高めていくことになる。これは意外良い競争優位性に繋がっていく。

ところで、普通に考えると、「セッターのコンセプトの良さ」や「コンペ大会」も大切であろうが、どこのジムもやっているので差別化要因ではないと思っている。つまり、本当に収益に繋がるのかどうか、上記「KPI」を確認しながら、その有効性を図っておく必要があるだろう。

まとめよう!

1.顧客が不満にならない最大顧客数を高める方法を考える
(時間の平滑化・分散、1Day利用者の時間制限)
2.1Day ⇒ 1mon/1year利用への移転仕組みを作り出す。
3.室内で消費する商品、利用する商品を販売する(食べ物等)
4.1Day/1monだけではなく特別会員のような価格帯を設定して、
付加価値を提供する(特別会員様向けスキルアップする年間ストーリ)
5.顧客同士の繋がり合いを促進して付加価値を生み出させる。
6.それらを下支えをする計数管理をしっかりしてPDCAを回す。

以上。

【考察】山の水から、「何かを制限される、人の心理」を学ぶ

 

持って行ける水の量は限りがある。
夏山の岩稜では、水の確保は計画段階でかなり厳密に盛り込んでおかなければ大変なことになる。しかも、稜線にある山小屋では雪渓を利用してポリタンクに貯めているせいか、臭いがきつくそのまま飲むには抵抗感がある。一方、谷沿いにある山小屋は、沢の水を利用できるので豊富である。ただ、ミネラル成分によってお腹が緩くなる。僕個人的な経験だが、八ヶ岳の水を飲んでしまうとお腹が緩くなって日頃の便秘は解消になる。

冬山は、水の確保は「雪」を解かせばいい。しかも、空から降った水なのでミネラルはあまりない。ただ、埃り、黄砂やPM2.5等の公害成分は浄化されていないので地域によって濃度が変わる(といっても気にすれば登山はできない)。沸かし方には工夫が必要だが「高効率のコッヘル(JetBoil等)」があればガスボンベ250g一つで「一人あたり3日分」である。もちろん、テント内で贅沢すればもっと早くなくなる。水の確保はガスボンベの量と比例するから制限を受ける。

話しはそれるが、
谷川岳連峰の南側の尾根は雪に結構ゴミが入る。人が多いからか?、関東平野に近いからか?、わからないが、谷川岳の雪を溶かして飲むのは少し抵抗感を持つようになってきた。一方、群馬から新潟県の稜線沿いに出ると、雪が綺麗でそのまま沸かしても綺麗な水であった。さすが魚沼米を支えている水だけか、汚れていない。先日かき氷にして砂糖をかけて食べたら今まで食べたことがないほど旨かった。不思議なことだが、残雪を掘ってみても筋状の層が現れない。雪が降った時期や雨の状況で断層のような筋(黒い筋)があると思ったのだが、スコップで雪渓を掘っていっても綺麗なザラメ状の雪が出てくるだけで、とても綺麗だった。よくわからないが、越後の豪雪環境が関係しているような気がする。また、それが新潟の生活を支えていると思うと、山の水の状態で平地での環境を理解できるかもしれない。

いずれにせよ、
日本で水の有難さを考える機会は少ないが、山に入ると水は最優先課題の一つで有難さを再認識できる。チームで動く場合、勝手にリーダーが水を決める場合があるが、本来水体力は個人差が大きいから、他人が勝手に決めるのも問題がある。いつでも飲める下界では水体力のない人を気遣うことはないが、山ではしっかり廻りの仲間が気遣ってあげたいものだ。

つまり、「日常の当たり前の価値観」で山に入ると、他人に対する「気遣い」ができなくなる。「なぜ、そんなに水を飲むのか?」とチームメンバーに言い出す人もいる。山の水は貴重だから、仲間に水を飲むのを制限しようとする。確かに、表面的に見れば、それは正しいように思える。しかし、個人には個性がある。チーム個人の水体力を把握してておく必要があるのだが、それを怠るチームリーダーにはそれを理解できない。そうすると、メンバーに対して「なぜ、そんなに水を飲むのか?」となり、チームメンバーは我慢するようになり、結果、弱い人間が脱水症状などを引き起こす。

・日常の当たり前なことは何か
・当たり前だから陥る認識
・各メンバーの差を考慮した計画
など考えておく必要がある。

これは普段の生活でも起こる。日常、入手が当たり前だと思っていることが、突然できなくなると人は他人を非難する。特に、社会的リーダーの方がその傾向が高い。それは「制限」が出るから、各メンバーに分配する必要がある、と考えるからである。ところが、その分配には個人差は考慮されていない。よって、弱い人が犠牲になってしまうことになる。
具体的な例は、3.11の計画的な電力停止である。電力という当たり前なことを制限を受けると人々は、”致し方ない”として「計画停電」を受け入れる。一律に地域ごとを決め時間によって電力をシャットダウンさせる。しかし、それによって病院など生命維持に電力が必要な人達は大きく影響を受けたことは記憶に新しい。地域ごとの個性など考慮されない。

制限から生じる人々の心理を、リーダー若しくは他のメンバーが十分理解しておく必要があるのだが、それを怠ってしまうとそのチームは危険極まりないだろう。

人工壁(リードクライミング100登ノック・1日目)

「リードクライミング100登ノック企画」ということで、短い時間で100回の登攀練習を行うことで登攀能力を向上させる目的です。場所は固定せず、山梨県山岳連盟、神奈川県山岳連盟山岳スポーツセンター、ストーンマジック(クライミング・ジム)、昭島のクライミングウォール等を利用します。

目標は100回登攀練習で、二子・城山の11c前後をリードできるまで引き上げたいと思います。もちろん、安全向上のため、登攀上の救助訓練や特殊な懸垂下降等も実施する予定です。

06/10日は4回の登攀でした(ホールドが一部緩んでいたので締め直す)。次回は6回以上をする予定です。もちろん、身体的に無理のない安全を考慮した範囲です。

頑張りたいと思います。

山梨県・奥多摩・乾徳山(ハイキング)

日時 :2017年06月09日
目的 :ハイキング
山域 :山梨県・奥多摩・乾徳山
メンバ:私(ソロ)
乾徳山登山口バス停(7:10)→国師ヶ原(9:00)→乾徳山山頂(10:45)→乾徳山登山口バス停(13:20)

当初、高所トレーニングのため富士山に行こうと思っていました。しかし、「上空に寒気が入ってくる」のと「高気圧の淵に当たること」から、富士山はあまり良くありません(テレビの天気予報では良いイメージですが当てにならない)。よって、近場でゆっくり楽しめる乾徳山に変えました。それでも、寒気の強さによっては荒れるはずです。奥秩父の前衛として、特徴ある山です。

この時期の天気の怖さは、予測不可能な集中的な豪雨です。低気圧や前線が通過する悪天候は事前にわかりますので入山しません。しかし、上空の寒気流入によって、地上と上空の寒暖差が大きくなると、突然積乱雲が発生して怖いカミナリと豪雨になります。よって、出発前の「地上の気温と湿度」、上空の寒気具合を考慮して登山をする必要があります。

出発前、思ったほど気温が高くなかったので、ある程度寒気が流入しても大きな天候変化はないと判断して登りました。もしあるとすれば午後からです。

やや湿度が高いもののとても歩きやすく、自然を堪能できるコースです。高低差は1,200M程(乾徳山標高は2,031M)ですが、足場がしっかりしているので苦痛はありません。国師ヶ原から緑が綺麗で山らしい風情が見られます。山頂付近を少しばかり岩場を登ります。鎖場ですが、鎖を使わず登ったりしました。山頂の西側は切り立った岩稜ですが、懸垂下降してちょっとしたアルパインを楽しめそうな感じです。幾つかハーケンがありました。

雪山のような緊張感が続くようなこともなく、やや落ち着いたコースでとても楽しめました。

奈良県・大峰山系・釈迦ヶ岳(ハイキング)

 

日時 :2017年06月04日
目的 :ハイキング
山域 :奈良県・大峰山系・釈迦ヶ岳
メンバ:父親、私
 
 
紀伊半島の山域は、他の地域の比べて山深く昔から修験道の聖地となっています。
大峰山系は、中学校の林間でよく登りました。今回久しぶりに登りましたが気分が良くなります。奈良県十津川村から入山する釈迦ヶ岳への尾根ルートは非常に歩きやすく家族づれ、高齢者が多く、とても楽しめる山です。往復約10km程でした。
 
膝が痛いという父親を先頭に歩き始めました。しかし、結構速く良いペースで進み2時間程で釈迦ヶ岳頂上です。あまり体力も消費せず無理もないコースなので父親を気遣う必要もなく、やや落ち着いたものになりました。頂上にはお釈迦様がいますので拝みました。また、ピラミット型の山頂の為、展望がよく紀伊半島が一望できるということで人気のルートです。天候もカラッとして澄み切っていましたので眺めがよかったです。
 
世界遺産 修験道「大峯奥駈道」は別のルートですが、神聖な岩が多いです。釈迦ヶ岳と大日岳の間のコルまで行きましたが、これから先はクライミング技術がやや必要なので、ここで引き返すことにしました。帰り際、母親の為に深仙小屋の四天岩から染み出る香精水と呼ばれる神聖な水を汲み、下山しました。香精水は万病に効く、ということで大切に持って帰りました。
 
停滞前線は南下しているということは大陸の気候が強いということです。そのため、カラッとすることは予測できます。この地域は本来湿っぽく雨が多いところですが、珍しくカラッとしたのはとても運が良かったと思っています。
 
とても気持ちの良い登山でした。
 

【考察】諦めない、クライミング

人の身体は個性がある
僕が幾ら筋トレをしてもマッチョにはならないが、一方、優れてた身体の友人もいる。
僕が幾らストレッチをしても開脚は良くならないが、女性クライマーはストレッチで柔軟性が高まる人が多い。

体育系大学でクライミングの論文が増えているからインターネットでググって見ると良い。 ある論文(文末参考文献)に、「保持力(手で体を支えること)」と「クライミングのグレード」には相関があるという。
そうすると、指の身体的構造がクライミングの上達に影響する。

1.指、そのものの大きさ
2.関節の可動域
3.関節の物理的強さ
4.筋肉の構成、
5.疲労回復力
6.その他

そして、人が後天的に鍛えられるのは限られているから、自らの身体的個性を超えて動作をしてしまうと体は壊れるに決まっている。
身体が壊れてしまうと後遺症が残るケースが多い。

しかし、僕らは他人と自分を比較して「まだまだいける」と思う。他人から精神論を言われ「お前は根性がない」とか言われる。しかし、そうやって他人と比較して、上手いクライマーを真似ようとする。そうしているうちに、肩が壊れ、腰が壊れ、指が壊れる。クライマーに狭窄症などの怖い病気を起こす人もいる。そうすると日常生活もままならず、結果、クライミングどころではなく歩行すらできない人になる。

本質な原因は「他人と比較して、自らを失うこと」である。
本来自分の身体を感し、自分が現実的な目標を設定する必要があるのだが、しかし、他人と比較してもっと!もっと!と思うのは本当は危険なことだ。オリンピック・アスリートのように人生のある瞬間勝負する必要があるのなら多少自分の身体が壊れてもいいかもしれないが、僕らは、長期間、歳を重ねても遊べれるようにしなければならない。

短期間で上達しようとする誘惑に打ち勝って、自分の個性的身体を確認する、弱いことを認める。
そして、生涯継続的、長期的に遊べれるよう無理のない範囲で上達していくこと、それが本当のクライミングの上達方法なのではないか、と思っている。

他人に笑われてもいい、弱いクライマーで良い、それでも、自らを失わず・自らを信じて、こつこつ長期的に続けて改善していく。岩を感じて自然を感じて、小さなことに喜びを感じて、日々日々新鮮にする工夫をして、少しずつ進む、それしかない。

 

【参考文献】(参考文献は知的活動における敬意のため記載)
スポーツクライマーの手指筋群における筋力および筋持久力特性の評価法,西谷善子,川原 貴,山本正嘉.

【考察】異質のコミュニケーション

昨日クライミングの練習後、5kmほどランニングをして電車で帰宅をしたのだが、車内で定期券を無くしてしまった。

困ったな、と落ち込んでいる時に、突然ホームで、
「中辻さん、何しているんですか」
と声を掛けられた。

クライマーの○君で、僕はすぐにコミュニケーションが取れず反応が遅れてしまった。別に悪いことしていてたわけではない(笑)。しかし、○君から先に「僕、競馬に行ったんですよ」と言われて、うまく気遣ってくれた。そのあと、僕は定期を無くしたので改札口を出れず、そのまま別れた。ほんの一瞬の出来事だった。

しかし、たった一言声をかけてくれたおかげで、気分がよくなった。
人とは不思議なものだな、と思った。

最近、読書を少なくしている。
20年近く毎日のように本を読みあさってきたが、やはり「活字には限界」がある。
サラリーマンが読書をして、そして、毎日のように同質のサラリーマンと会っても、あまり有益ではないことを気づいた。つまり、独りよがりになって良い知的な活動ができない。それより、世代を超えて異質な遊びをした方が、ふとした時、大きな気づきを得ることができる。クライミングは20代-30代が多い、登山は年齢は総じて高い。どちらも人間に優劣があるわけではないから、対等な関係で良い。

先日、南魚沼で農家をしている登山者の70歳のおじさんと話し合ったことがある。僕が「山でのうんこエピソードの話(笑)」をしたら爆笑していたが、おかげで農家の苦労と越後周辺の山の情報を教えて貰った。もちろん、全く話が噛み合わないことも多いから、理解できないこともある。しかし、それでも数日後に「そういうことだったのか」と気づきがあるから異質なコミュニケーションとはそういうものかもしれない。

読書は必要ない、とは思えないが、やはり、行き過ぎるのもまたよくない。
少し外に出て山に登ったり海にいったり、キャンプにいったり、絵を書いたり、音楽を奏でたり、写真を撮ったり、して、国内外の全く異なるメンバーとコミュニケーションをとることで、今までの読書経験とあい混じって、良い気分になったり、創造的な活動ができたりするのではないか、と感じるようになってきている。

上越国境縦走・白毛門・巻機山(雪山登山)

日時 :2017年05月02日-04日
目的 :残雪期の雪山縦走
山行 :上越国境縦走(白毛門-巻機山)
メンバ:中辻(ソロ)
ルート:
02日 土合駅(05:40)発-白毛門(10:30)-JP(14:30)泊
03日 JP(05:30)-柄沢山(13:00)-コル(14:30)泊
04日 コル(07:30)-巻機山(11:00)-清水村(14:30)下山

クマにもあった孤独との戦いでした。



事前に天気分析を観ても悪天候になる要素はなく、ゆっくりと移動する移動性高気圧に覆われることが分かりました。ただ、3日後の予測は難しいのでこの点だけ不安でした。もともと、このコースは数年前から立てていましたが、天候に恵まれず、また、雪が少ないと藪こぎになってしまうので計画倒れになっていました。
つまり、登山道でもなく、また、逃げ場もないルートなのです。



土合駅に車を止め、白毛門を目指します。途中から雪がありましたので歩きやすかったです。白毛門山頂手前の登りは、セラックの崩壊の危険がありましたので、とにかく、スピードを速く登りました。それから、朝日岳までは順調で雪も多く、また、登山者も少なかったので、歩きやすかったです。朝日岳を過ぎたジャンクションピークで一泊しました。テント内で翌日の危険性を考慮すると、実は引き返そうと思っていたのは事実です。これ以上進むと、殆んど登山者がおらず、また、雪庇、雪田での滑落、セラックの崩壊、シュルントへの転落・踏み抜きなどあるからです。



翌朝の天気が異常なほど、よかったので、進むことにしました。その日、私を入れて3名程見ましたが、殆んど一人でいる状態です。周りに誰もいないので、どこかで転落しても救助はありませんから、孤独との戦いです。そうおもって、用心して歩いていたのですが、突然200メートル程前方に藪からクマが飛び出てきました。向こうは全く気づいていませんので、眺めていました。よく観ると、藪の近くにもう一人70歳くらいの男性が居て、クマ笛を吹いてくれました。そのおかげで、クマがこちらに気づいて、逃げてくれました。まぁ、この地域のクマは
人間を恐れていますので、きちんと気づくようにすれば逃げてくれます。ただ、あと10分ずれていたら、クマと出会いがしらで遭遇して戦闘モードになっていたことでしょう、運が悪いのか良いのか分かりません。

早急にこの領域を離脱しようと、早歩きでクマが居たところを通過して、雪がなくなっているところは藪こぎで進んでいきました。そうして1時間程度経った後、左のアイゼンが外れて無くなっていることに気づきました。クマの怖さで藪こぎをいそいそと真剣になってしたので外れていることに気づかなかったのです。戻りましたが、見つかりませんでした。この日は気温が高かったので、普通はアイゼン入らない状態でしたが、斜面や気温が下がるともう行動できません。正直アイゼンを失くしてから、怖くてたまりませんでした。

一方、雪渓の登り降り、シュルントの通過、雪庇の判断をしながら、それが難しい場合、藪こぎ、と恐怖との戦いです。これはもう登山を楽しむ状況ではなく、一人で判断していく怖さでいっぱいです。

柄沢山を1時間程過ぎて、急な岩場の藪こぎや急な雪渓を登る必要がでてきましたが、そろそろ気温が下がってきましたので、ここでテントを張ることにしました。夜は翌日の天候と雪の状況が心配で初めは眠れませんでした。雪が気温が低くなると、氷になるのでアイゼンなしでは行動できません。さらに悪いことに緊急用の携帯の電源が入りませんから。
でも、可能な限り対策を講じた以上、それ以上は不安になってもしょうがないので、しっかり寝れるよう気分を変えました。

3日目、雪が緩む時間を狙って、ゆっくり起きました。不安に反して、7時半頃には雪が緩み始めて、8時頃にはアイゼンがなくても歩ける状態になっていました。天候もよかったです。最終日は順調に、巻機山迄行きました。それまで孤独との戦いでしたが巻機山に到着後、登山者が多くうんざりしました。人間とは勝手なものだなぁ(笑)、と自分の感情でそう感じてしまいました。巻機山からの下りは、人が多いと滑りやすく何度か転倒しましたが、無事に下山できました。清水村に到着後、旅館のご主人にタクシーと呼んで貰いました。さらにお茶まで頂き、最終日は何かよいサービスを頂きました。


■悪かった点:
1.クマに遭遇したことは致し方ないことでしょうが、クマ対策を全くしなかったことです。クマ笛の一つも持っていかず計画段階で考慮をしていませんでした。

2.その為、あるアクシデントが連鎖的に他のアクシデントを起こしたことです。クマに遭遇したことで、焦ってアイゼンをなくしました。これがもし極寒の雪山稜線だったら命はなかったのです。

3.携帯電話が使えなくなったのは電源が入っていたからです。普通切りますが、忘れていたのでしょう、携帯が電波を探して余計にエネルギーを消費するのです。山では携帯の電源を切らないと行けません。

■良かった点:
水分が必要だと思ったので、予備のガスボンベを持って行きました。翌朝の飲料の為、テントで多くの水を作りました。昼3L程飲みましたから、少し多めに持っていって良かったと思います。水だけは豊富でした。


感想:
課題が多すぎて解決に当たるのに疲れました。雪山は向いていないのではないか、と思うほど、ストレスフルな登山です。アイゼンを失くしたことではなく、連鎖的に起こるアクシデントは怖いのです。アイゼンの脱着も繰り返すので、もしかしたら、いい加減な結び方をしていたのかもしれません。そういうこと、一つ一つが慎重になるべきでした。しかし、それは裏を返せば、ストレスになります。今回は天気が良かったにもかかわらず、登山を楽しめなかった経験です。