【考察】ソロ登山と未婚率の関係はあるのか

日本社会の縮図を雪山登山に描写してみる。

先週、爺ヶ岳・東尾根で出会ったチームは概ね15組程度。そのうち、僕を含めて5組位単独(女性1名を含む)だったと思われる。単独は危険だ、というが単独で入山している人で「死にそうな疲れ顔」をしている人は居ない、それだけ経験があるのかもしれない。

一方、5名のチームの後部にいる人達は「死にそうな疲れ顔」だったことを覚えている。チームで動くと自分のペースを崩され、水を飲むタイミングを規制され、我慢することになる。そうすると、結構な確率で「死にそうな疲れ顔」をしている光景を見る。

単独は危険か、それとも、無責任リーダーの下のチームが危険か、わからない。

いずれにせよ、
そして、この5組/15組という単独比率は、40歳代前後の未婚率とほぼ等しいことに気付いた。単独には自由に動けるメリットがあるが、トラブルが一たび起これば解決にあたる施策が制限される。そうすると、トラブルが連鎖的に起こり、取り返しがつかない事態が起こる。つまり、トラブルにあたる施策のバリエーションが少ないのが単独の欠点である。

但し、単独の場合は自分のペースと自分の技術で行っているので、トラブルが起こる確率が低くなる。例えば、単純に考えて、5人チームだと、単独に比べて5倍の身体的トラブル、滑落トラブルが起こる可能性があるということになる。

結果、
単独は、トラブルが起こる可能性が低くなるが、しかし、一たびトラブルが起これば、解決策に限りがあり、死亡率は格段に高くなる。
一方、チームで動くとトラブルの発生確率は極端に上がるが、しかし、トラブルに対する対策にバリエーションがあるから、死亡率が下がる。誰かいれば救助依頼もできる。

これは結婚という意味においても同じで、独身の場合、トラブルに遭遇する率が低くなる。例えば、妻が借金をするとか、子供が交通事故に遭うとか、兄弟が居候するとか、である。そうすると事前にリスクヘッジする必要もなく、ストレスもかなり軽減される。しかし、一方、心筋梗塞等で動けなくなってもどうすることもできない、失業すれば、自信喪失にもなる、励ましてくれる人もない。そうすれば、死亡率が格段に上がる。

そして、この選択をする率は概ね3割ということは、面白い事実である。そういう特長を理解して自分の人生を進んでいるのであれば「孤独死」もまた自らの選択となる。アイスクライミングや沢登の単独での事故は悲惨で、少しばかりの骨折でも救助を呼べない以上、徐々に迫る死を苦しみながら眺めることになる。

一人という生き方が社会的問題、というマスコミの指摘は違和感がある。自ら選択しているのであれば、それでいい。家族を含めて他人のトラブルにあたるストレスが少ない方が精神的にも安定する。しかし、一方で、差し迫る死を直視しておく必要は独身にはある。真の意味で単独を享受できること、それは「ソロ」者がしっかり考えておかなければならない。