登山中の熱中症対策



上図(出典:水分損失率と現れる脱水諸症状の関係、日本体育協会から抜粋して私が表にした)は、熱中症の度合いを示したもの。
赤点線で囲んだ箇所は僕は経験している。 友人の医者からは「普通の人なら一時入院と点滴処置」であるが、まぁ君なら大丈夫かも、など冗談で言わたことがある。


しかし、適切に処置している。
常に思っていることだが、登山は、気象でも体調でも街中での考え方以上の注意が必要だ。

例えば、
熱中症は、30度以上であれば特にリスクが高くなると言われるが、 登山では時に水も飲めない、気温が予想以上に上昇して街中では考えられない状況に追い込まれる。 少し頭痛がしたり、吐き気がする。これは中程度の熱中症だと思うが、そんな状況に追い込まれてもコンビニや病院があるわけではない。準備を怠ったから、などいう人がいるが、それはアクティビティをしていない人だろう。通常アクティビティは、突発的に起こる予想外が多く初めからすべてを予想などできない。 – よって、 僕は以下の考え方で対応している。



■ 荷物の優先順位
リュックに入れる荷物には制限がある。重くなれば逆に体力を消耗するから軽量が基本。だから、夏場は食糧より水を優先する。食糧は3日以上食べなくても問題はないが、水は炎天下で数時間飲まないと危険な状態になる。また、食糧を内臓で分解するとき水分が必要となるから、食べ物のせいで熱中症となることがある。だから、夏場の食べ物は羊羹やα米等の簡単なものでいい。それより少し多めの水分を持っていくことにしよう。


■ 荷物の重さ
僕の経験だが、トレランのような軽い荷物でスピードが速い場合、重たい荷物を持っている登山より熱中症になりにくい。山の中は涼しいところもあるので、街中に比べれば休まるところもある。荷物の重さを常に最適化できる能力を高めよう。 


■ 服装は長袖長ズボン
服装は紫外線防止/怪我防止を含めて、夏用の長袖長ズボン。 肌の露出は一見熱中症に有効のように思えるのだが、日焼けで肌の機能が劣化したり、汗が垂れ流しになって気化熱を得られにくくなったりする。


■ 筋肉を増やす
筋肉の多い人は熱中症の閾値が高いように思える。科学的根拠は知らないが、体力があるからというだけではなく筋肉には保水性があるのではないか、という仮説を持っている。


■ スポーツドリンクの工夫
詳細は(こちら:スポーツドリンクの工夫)


■ 熱中症耐性
日頃運動しない人が急に炎天下で登山に出かけたら、それは自殺行為。やはり、日頃日常的にやっていることが重要で、朝通勤時に一駅歩いてみる。夜は軽いランニングをしてみる、など陽射しが弱いときに運動をしておく。街中であればコンビニで冷たいドリンクも飲めるから山よりトラブルの対策が取れやすい。


■軽い熱中症の経験が、優れた判断基準になる
十分気を付ける必要があるのだが、 気温の高い夏場に高尾山等の低山に行くと、かなりの確率で軽い熱中症になる。小さな危険を経験している人は、そのあとのリスクに対して敏感になる。一定の感覚を研ぎ澄ませるには、それなりの経験が必要だ。人間の判断には比較対象が必要で、一度軽い熱中症になっているとそれを基準で体調の悪さを評価できるようになってくる。「あの時の症状に似ているから下山しよう」とかである。 



以上である。
但し、混乱を与えてしまうので書かなかったが、山では昼熱中症のような暑さでも、急激に風や雨で低体温症にもなってしまう。夏場の山登りは環境の変化が激しく、やはり熱中症だけではない体調管理にも注意が必要だ。の対策が取れやすい。



 













スポーツドリンクの工夫


 汗には約0.3%の塩分が含まれるということなので、1リットルであれば3gの塩分が必要ということになる。

但し、 一般的なポカリスエット等の有名ブランドは、少しお高く何度も飲んでいるとコストが膨らむので少し工夫したいもの。 それで、一番安いには「水+塩分」だけど、これは不味く長続きしない。結局、スーパー・ライフのプライベートの「スポーツドリンク粉末」に落ち着いた。

その安い「スポーツドリンク粉末」をさらに工夫している。

■準備:
・格安のプライベートブランドのスポーツドリンク粉末(60円/1袋位)
・塩(岩塩or海水塩が好き、製品によって濃度は異なる)
・水筒(nalgeneが好き)

■手順:
①水筒1リットルにスポーツドリンク粉末を「半分」入れる。
②塩を1.0~1.5g程度入れる。
 (他の食べ物に塩分があるのでこれくらいでいいと思う)
③水道水(浄水器を利用)を入れる。

これで運動時に持ち歩いている。 なお、 雑菌の増殖をしないよう注意は必要。

■オプション:
真夏日は凍らす場合もある。1リットルを完全に凍らすと5時間程度冷えたまま。自宅から登山道まで時間があるのちょうど良い。 よく冷えたものは体に悪いというが、僕の経験では真夏日の運動には冷えた飲み物の方が体調がいい。

また、
ハードな運動ながら、適当にBCAAを入れるのもいい。少しきつい登山の場合、BCAAを10g程度入れることもある。

■変性について:
アミノ酸等を水に溶かす場合、種類のよっては変性するものもあるようである。これらの「変性」という言葉だけでも覚えておく必要があるだろう。例えば、グルタミンなど。







7年ぶりの大腸内視鏡検査です

7年ぶりの大腸内視鏡検査です。

大腸がんは内視鏡で予防できる可能性があるようです。
前回はポリープはゼロだったのすが、今回は5個ありました。 やはり、運動して、たばこも嫌い、アルコールもあまり飲まなくても検査は行くものだな、とあらためて思いました。

二週間、クライミングや登山は出来ませんが、この際、指を修復させたいと思います。 クライマーはたんぱく質の摂取が増えますから、何らかの影響はあるのかもしれません。







富士山・富士宮ルート(高所トレーニング)

日時 :2019年05月25日
目的 :高所トレーニング
山域 :富士山・富士宮ルート
メンバ:私(ソロ)
 富士宮5合目口(4:30)→9合目(9:00)→富士宮5合目(11:00)

出発は寒くゼロ度近かったです。
駐車場からゆっくり進みます。僕は富士山は高山病になりやすいのでいつも慎重に登ります。北岳や穂高は問題ありませんが、富士山の下山時には確実に高山病になりますので、トレーニングを兼ねて登ります。

もともと山頂まで行く予定はなく、3000メートルで下山するつもりでした。これだけ登山していますが、どうも耐性高山病の遺伝子はないようです。

ゆっくり登ります。流石に朝は雪がしまっており危険です。滑落しないように慎重に登ります。早めにアイゼンを付け、横向きのフラットフィッティングで確実に登ります。海外のアイゼンワークの基本動作ですが、そんな技術を持って富士山にきている人はいません。それどころが、アイゼンも付けずに運動靴で登る人もいて注意しました。気温が上がれば問題はないかと思いますが、それでもしっかり山登りの安全技術を学んでもらいたいです。気温が下がれば下山出来ないと思いますので。

登山道には雪がないところがあり、登れます。ただ、気温が上がり安全に登れるようになってきたのでそのまま雪渓を登ります。やはり岩より雪の方が歩きやすいので、すぐに3000メートルを超えます。3400メール付近の9合目で軽い高山病の症状が出始めたので下山判断をします。もともと3000メートルを目標にしていましたら、十分です。雪渓を慎重に下山します。やはり、雪の上は早い。気温がどんどん上がり、下山時にはシリセードで遊んで、滑落停止等を練習することができました。冬山の滑落停止練習これでシーズン終了で、次は12月ごろから開始したいと思います。

富士山、ありがとうございました。






日の出直後は5月といえでも凍って危険です。転倒しないように慎重に進みます。
ようやく、雪が緩んできました。大分安全に登れます。
天気がいいので、スキーヤーが結構登っています。





奥秩父・甲武信(残雪期登山)

日時 :2019年05月04日
目的 :残雪期登山
山域 :山梨県・奥秩父・甲武信
メンバ:私(ソロ)
西沢渓谷(5:50)⇒(徳ちゃん新道)⇒戸渡尾根分岐⇒甲武信岳(11:00)⇒戸渡尾根分岐⇒(徳ちゃん新道)⇒西沢渓谷(14:30)

天気分析に失敗して、12時頃から酷い雷雨で怖い目に・・・

大きく天気が崩れるのは、夕方位からだと分析。寒気が上空に入ってくるので、夏場の夕立と原理は同じだが、その タイミングは違うことも分かっていた。 出発時は天候もよく、ゆっくり徳ちゃん新道を登る。2000メートル付近まで雪はなく非常に登りやすくペースが上が る。2000メートルを超え、軽アイゼンを着けさらに進みます。樹林帯なので安全で歩きやすいですが、観天望気で雲の流れや湿度を分析してみると、「これはカミナリがくる」とすぐに分かります。

山頂に到着後、そのまま山小屋で泊れば問題はなかったのですが、高速下山を開始。これはいかんかった。

山小屋から離れ、戸渡尾根分岐から徳ちゃん新道へ入るところから少し雪が降ったと思ったら、急にひょうに変わる。それから、2000メートルまではひょうで、それからはどしゃ降り。 カミナリが半はなく、右側の尾根に一発、左側の尾根に一発。次は自分の尾根のような気がすると、目の前100メートル位に一発。始めて、木が水しぶきを立てたところを見た。

両足を揃えて教科書通りに回避姿勢をしておさまったら、進むを繰り返す。体力のない人は低体温になるかも、と思って西沢渓谷に下山したら、案の定、山梨県警の救助隊がきている。あれは久し振りにやばい。こんなに気象の勉強をして経験しても予測を間違った。

 顔写真が物語っている。カミナリの静電気で髪の毛が逆立ちしたのかわからないが、濡れているにもかかわらず髪の毛が立つ(笑) 後日分かったのだが腕もやられていて、2週間位手の甲が痺れていた。直撃をうけないまでも近くにカミナリが落ちるとそれなりの影響があることを知る。

下山時のスピードは今までの最速だったけど、また反省した登山だった。




天気はよかったのにね、やはり山の天気は難しい
観天望気、左から寒気流入してきている、湿度も高いのでもうすぐに雷だ
雷で逆立ち? 写真よりも酷いことになっていてた。








『孫子』や四書五経の陰陽的発想

『孫子』や四書五経の陰陽的発想は、魅力を感じる。


クライミングで友人が怪我をしたとき、「身体動作的スキルがない」等の反省をするのだが、これは東洋的ではない。 普通、クライミングで「勝」とは、「ボルダリング四段を落とした」とか「ヨセミテのエルキャピタ・ノーズ」を登ったとか、そういう達成感だろう。しかし実は、そんな経験を繰り返していると何れ大きな怪我や身体を持ち崩すことになる。若いとつい、もっともっとと自分の体力やお金を使ってチャレンジしようとする。この達成感は厄介。

『孫子』は、戦うことは嫌って、真の意味で勝つことは何か、と考え抜いて考えている。戦いよりも国力を重視して、致し方なく戦いをしたとしても「負けない」ようにする。一時的な戦いは一時的には組織を奮起されることが可能だが、一方、戦いをせず継続的な国力を蓄えるというモチベーションを維持させるのは非常に難しい。

クライミングでも、 「ボルダリング四段を落とした」ということよりも、負けないように「怪我をしない」「継続してクライミング」をできる方が難しい。「ヨセミテのエルキャピタ・ノーズ」を登ることよりも、クライミングを自制し「財政基盤(仕事)」を構築、しっかり、自分のコスト管理をしていく方がはるかに難しい。

そういう基盤が無い状態で、借金までしてクライミングをして、仕事を辞めクライミングをして、怪我をしてクライミング/回復してクライミング、をして、を続けても、本当に意味での「勝」ではない。何れ、クライミングにも無責任になってしまう。(ただ、無暗な貯金を国力といっているわけではないので注意) クライミングの友人によく言っているのだが、クライミングを楽しみたいのなら「経済的基盤を作ること、自立すること」、そして「怪我を小さくすること」。そうやっていく社会的責任を負うことと遊ぶことの両輪がなければ、実は継続的に続かない。 電車で無責任な乗客に腹立たしく思うよりも、その場を離れて自分の安全を確保する。 高速道路で煽られても苛立たず、その車線から離れて安全に走行する。 そうやって相手を打ち負かすのではなく、「負」状態を作らないように行動をしていくこと、それが東洋的な発想ではないか、と思っている。





雪崩が多いような気がする

 雪崩が多いような気がする。

アメリカの研究機関によれば雪崩に巻き込まれたら50%の確率で助からない。ただ、15分以内で救助されれば、93%助かる。ここ50年間で5倍の犠牲者が出ている。 以前朝日岳付近の稜線で、10メートル位離れたところから全層的に崩れていく風景を見たとき、竜巻が来たかと思うほど強いエネルギーだった。 雪崩も温暖化の影響を受けているにちがいない。

PS
しかし、雪崩講習会がこんなにあるのに犠牲者が大きく減らないのは、違和感がある




山梨県・三ツ峠(登攀トレーニング)

日時 :2019年04月21日
目的 :マルチクライミングの練習
山域 :山梨県・三ツ峠
メンバ:私、Nくん
登攀練習時間:7:30~12:30

三ツ峠でマルチの練習です。カラス事件が・・・

1泊しようと思いましたが、少し仕事の疲れと寝不足があり、どうしても土曜日は運動できず、本日の日帰りとしまし た。N君は前日に富士山に行ったようです、この時期の富士山なら、まぁ大丈夫でしょうけど、疲れがある中でのク ライミングは気をつけた方がいい、とアドバイスはしておきました。

7時前に屏風岩に到着して、天気がいいので人が多いと思い早目に離陸。T字クラック(Ⅴ )→No.14クラック(Ⅳ ) →権兵衛チムニー(Ⅳ)→天狗の踊り場へ。 クラックが決まれば難しくない「No.14クラック」もそれに気づかないと結構難しい。権兵衛チムニー左横のスラブに 挑戦したが、これは次回に持ち越そう。 Nくんも苦戦していたが、最後まで登りきってくれたので、とても充実感のあるクライミングであった。いいマルチ の練習になった。

ありがとうございます。


■付録  
懸垂して戻ってくると、何やら荷物が荒らされている。Nくんが座っているのは、僕の食糧の上で、  
「中辻さん、すみません、食糧が破けてしまって、僕が座ったので」  
そんな破けるはずはないので、可笑しいなと思っていたが、まぁ、謝るのでそうかな、と思っていたら、隣なおじさ んクライマーが、  
「君たちの食糧、カラスが荒らしていたよ」
とNくんの責任ではなかった。それを聞いたN君が冗談で逆上(笑)して、  
「僕の責任じゃないじゃないですか、謝って下さいよ」  
と笑っていうのだが、 何だか、Nくんの独り相撲のような気がして可笑しくなった。  
三ツ峠のカラスは有名で、少し忘れていたので、反省。





三ツ峠からの富士山は綺麗です。
2ピッチ目、幾つかルートがあるので、きちんとコミュニケーションをとります。
天狗の踊り場で休憩、富士山に傘がかかっています。この後懸垂です。

         
        
      

奥多摩・酉谷山(残雪期登山)

日時 :2019年04月06日
目的 :残雪期登山
山域 :奥多摩・酉谷山(残雪期登山)
メンバ:私(ソロ)

東日原駐車場(7:00)⇒天目山(9:30)⇒坊主山(割谷ノ峰)(11:00)⇒酉谷山(13:00)⇒天祖山(17:00)⇒(19:30)東日原駐車場

今日は、辛い登山であった。下山時に足を引きずったのは久しぶり。

雲取山の東側に、酉谷山というマイナーな山がある。馬蹄のようなコースで登山ができるのでトレーニングには良いと思った。初めてのコースなので、残雪期のフル装備でロープや軽量ハーネスも持っていく。但し、靴下をスマートウールからモンベルの厚手を着る。厚手のスマートウール製があればいいのだが、無いのでモンベルのもの。

この靴下がやばかった。

登山を始めた頃のように靴ズレを起こし、足の小指と薬指が激痛で爪がもげ出す。小さく合わなくても、何万歩もあるくと影響がある。 普通、20kmの登山なら疲れるが辛くはない。30kgを背よって高尾トレーニングではなんともなく、筋肉的疲労で済む。 しかし、日帰りの軽い荷物で、「靴ズレを起こし、足の小指と薬指が激痛」エスケープしようと思ったが、そのルートは崩壊で通過できないとお札。致し方なく、痛みを我慢しながら引きずってしまう。

標高1700メートルから一気に下るとき、出血しているのが分かる。ビバークすることも考え方が、明日は歩けないような気がするので、歩けるところまで。もう拷問状態。奥多摩らしく整備されていないところが多いので、危険なところがあるから精神的にも緊張する。 何とか車に帰ってきて登山靴を脱がずに帰宅。いま、拷問のように靴を脱いでお風呂で手当てして何とか痛みを抑えている。

久しぶりだった。
いつも登山をしているしきちんとトレーニングをしている。しかし、当日のコンディションが悪いとこんなことになる。能力があってもコンディションが悪いと、それは事故を誘発してしまう可能性があることに、改め思った。足の痛みを抑えるために体のバランスが崩れ、本来のパフォーマンスがでない。山ではそんな痛みが体全体に影響をおよぼる。 スマートウール製を履き、良いコンディションでトレーニングしてきた体力を過信している自分に反省して、ある程度のトレーニングは必要だが、当日のコンディションに重点を置くべきだ。

・基本的な体力・筋力を保持しているなら、当日のコンディションを整える方が大事 という教訓を学んだ一日だった。

距離  25.8km
記録時間 12:28:18
累計高度(+) 2,845m
累計高度(-) 2,822m
消費カロリー 5008kcal





登りはとても4月らしい明るい。
酉谷山の避難小屋、とてもきれい。
天祖方面へ向かいます。
林道へ出る最後の下り。危険です。思っている以上に危険で特に落石に注意が必要です。